昨年12月30日(水)の冬コミにて、スペースにお立ち寄り頂いた皆様、本当にありがとうございました。
この冬は例年よりも寒さが和らいで、冬コミ期間中も過ごしやすかったですね。コミケ後には体調を崩すことが多いのですが、今回はそんなこともなく肉体的にはすごく楽でした。
今回でTRPG漫画『ダディーズ&ドーターズ』も第7巻目を数えました。第1巻から手に取っていただいている方にはもう3年以上おつきあいいただいていることとなり、感謝の念に耐えません。また、新しくご覧いただいた方々、全巻セットでご購入くださった皆様にも厚く御礼申し上げます。新しく手に取られた方にとっては、購入いただくハードルが巻を重ねるごとに高くなってくる中、それでもセットでご購入くださるかたがいてくださることは、非常にうれしい限りです。
あらためて1巻目を見ますと、表紙も含めて技術的にも拙いところが目立ちます。今も決して絵がうまいわけではありませんが、1巻目は特に下手だなぁというのが振り返った実感です。それでもあのとき手に取ってくださった方がいてくださったからこそ、今まで描き続けてこられたのだと思います。
「今回手に入れた同人誌の中で一番良かったです」
これは忘れもしない2012年の冬コミ、はじめて描いた漫画でサークル初参加、あのとき、あの場で購入くださった方が、終わり近くになって再びスペースに来てくださり、いただいた感想の言葉です。
主人公の人物が出会った相手をTRPGに誘い、それに答えるというだけの、TRPG漫画といいながらも中身的にもまだ何も始まってすらいない漫画に寄せられた感想としては、それはあまりにも過分な評価の言葉だと思うのですが、私にとっては何者にも勝る喜びを与えてくれました。作り手と送り手が直接やりとりできる同人誌即売会の醍醐味とでも言うべき部分を、これ以上ない形で実感することができたのだと、振り返って思います。
「友達補整抜きで面白かった」
これは友人からもらった言葉です。これもうれしい一言でした。
実は初めてのサークル参加はかつてのTRPG仲間だったその友人にすら内緒でした。自分の描いたものが知り合いに見られるというのが気恥ずかしかったのです。全然売れなかったらすぐに止めるつもりでしたし、その可能性が高いと思っていたので、伏せていたのです。もしある程度認知され、そこそこ頒布できるようになってそれなりに評価ももらえるようになれたら、その時に話をしようと、恥をかきたくない保険の意味で内緒にしていたのでした。
しかし、元TRPG仲間で今でも親しいつきあいのあるその友人は、もしやコミケにサークル参加したんじゃないかという、ただそれだけの疑念を元にとらのあなで通販しているあまたの同人誌の中から私の描いた同人誌を見つけ出し(!)、買っておいた上で、ある日スカイプで会話している最中に「そういえば、先日こんな同人誌を買ったんだけど、昔僕らが遊んでいたTRPGをテーマにした漫画で……」と白々しく見せてきたのでした(笑)
あのときスカイプの通信映像で友人が自分の同人誌を見せてきた時のショックは今でも忘れられません。
いや、どんなジャンルで描いているかも含めて何も情報を与えていないのに、当時まだたった一冊しかなかった私の同人誌を特定するか普通(笑)
おかげで、多少は売れるようになってから「実は・・・・・・」と暴露する、もし売れなかったらそのまま内緒でフェードアウトする、という私の計画は水泡に帰したのでした。私の同人活動の退路が立たれた瞬間でした。
しかし、その場で友人から、先の『友達補整抜きで面白かった』という、友人からもらう感想としてはうれしい評価をもらい、これもまた先の言葉と同様に私の大きな励みとなりました。
以来、数を重ねて今回でついに7冊目となりました。当初コミケだけの参加も今では大阪のこみトレ、ゲームマーケットと様々な即売会に参加する中で、多くの方に購入いただき、またうれしい感想もいただくようになりました。
本当にありがとうございます。
つたない同人誌ではありますが、私にとっては時間を削って描いた大切なものです。それを手にとってくださった多くの方には、感謝の言葉しかありません。
今後どれだけ続けられるか未知数な部分があります。即売会に参加する時間や同人誌を描く時間がどれだけ確保できるのか不安があり、今回の新刊のあとがきでも書いたとおり、あと三冊ほどで同人活動にもひと区切りをつける予定です。ただ、描きたいことはたくさんあるので、区切りがついたあとも、なんらかの形で発表していければと思っています。